« 2006年10月 | トップページ | 2007年1月 »

2006年11月18日 (土)

コラム:ダブルオカリナの長所(2)

4.まとめ

楽器の可能性に挑戦するという意味でトリプルオカリナは魅力的です。珍しいので所有する喜びもありますし、挑戦する意欲も沸きます。

しかし、高価なトリプルを買える人は多くありません。難しいトリプルを吹きこなせる人も多くありません。トリプルでなければ吹けないという曲もそんなに多い訳ではありません。

そうであれば、比較的安価に購入でき、トリプルに較べれば吹きやすく、ほとんどの歌謡曲を含め演奏可能な曲の幅が大きく広がるダブルオカリナに多くの人が接することができ、複数管の面白さに親しんでもらうことの方が大事なような気がします。

製作者にも、消費者にも、「トリプルがあるのだからダブルは単なる通過点」と考えるのでなく、ダブル独自の魅力も知って欲しい、知らせて欲しいなと期待しています。

2doublesm   
(上) アケタ・ダブレット

(下) マパラム・ダブル

※ この他、日本ではティアーモがダブルオカリナを
   市販しており、韓国ではノーブルが近日中に
   ダブルオカリナを市販予定です。

(クリックすると拡大表示されます)

 

アケタがダブレットの生産を停止してながらく経ちましたが、再び、韓国でも日本でもダブルオカリナが市販されるようになりました。繰り返しますが、関心のない人に複数管を強要するつもりはありません。関心が生じたときに、そこに購入の選択肢があるという状況が生まれたことを嬉しく思います。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月11日 (土)

コラム:ダブルオカリナの長所(1)

私はシングル(従来型の)オカリナに満足している方にダブル・トリプルを積極的に勧めるつもりはありませんが、トリプルを気に入っている人、トリプルに関心を持っている人に対しては「ダブルもいいですよ」と言いたいです。タイトルの「ダブル・オカリナの長所」というのも、正確に言えば「トリプル・オカリナと比較してのダブル・オカリナの長所」です。

楽器の限界に挑戦したい人や、珍しいオカリナを収集したい人にとっては、トリプルが存在している以上、ダブルには関心が薄いのかもしれません。韓国のオカリナ製作者にも、ダブルはトリプル開発の途中過程に過ぎず、トリプルを製作できるようになった以上、ダブルには余り意味はない(トリプルがあればダブルは不要)として、当初はトリプルのみを販売していた方がいます。

私は、個人的にダブルが欲しかったこともあり(笑)、以下の通り「ダブル・オカリナの長所」をアピールしました。

Maparam10s_1   (写真はイメージです)

1.ダブルはトリプルよりも吹きやすい

トリプルがあれば、高音部を使用しなければダブルと一緒ではないか、とお考えの方もいると思います。しかし、吹口が二つのダブルの場合、低音部では左側の吹口を吹き、中音部では右側の吹口を吹く、という点で左右だけを意識すれば良いので明快ですが、吹口が三つのトリプルの場合、中音部では真ん中の吹口を吹かねばなりません。右に寄ってしまうと高音部の吹口に息が入ってしまうので、吹口移動の際に常に「行き過ぎを避ける」ことを意識しなければなりません。
説明は省略しますが、運指穴についても同様のことが言えます。また、ダブルの方が軽くてホールド(保持)も楽です。したがって「大は小を兼ねる(トリプルはダブルを兼ねる)」というのは音域的にはそうですが、両者の吹きやすさにはかなりの違いがあります。

2.ダブルがあれば大抵の曲は吹ける

現在我々が「シングル(従来型の)オカリナでは音域が足りなくて吹けない」と思っている曲の多くはダブルで吹けるように思います。特に歌謡曲については人間の声の音域にも限界がありますので、ダブルがあれば大抵の曲は吹けます。クラシックの曲などで、ダブルでも音域が足りずにトリプルが必要な曲はありますが、そういう曲はそもそも演奏が難しく、セミプロやプロの中でも一部の方が取り組んでいるように思います。

3.ダブルの方が安い

当然ですがダブルよりもトリプルの方が高いです。シングルよりもダブル、トリプルの方が製作の手間は、2倍、3倍あるいはそれ以上になります。製作過程で生じる不良廃棄率も、2倍、3倍あるいはそれ以上になります。したがって、シングルの価格に較べて、ダブル、トリプルの価格は、4倍、9倍とまではいかないまでも、2倍、3倍あるいはそれ以上になって仕方ありません。しかし、これは生産者サイドの話であって、消費者にとって、価格が2倍、3倍になるからといって、性能や満足度が2倍、3倍になっているとは限りません。吹けるようになるかどうか分からない高価なトリプルを買える人はそう多くありません。

(続く)

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月 6日 (月)

製品レビュー:トリプル3機種の比較(3)

3.吹口の間隔

トリプル・オカリナで気になるのは、和音を出せるかどうか、その関連で吹口の間隔がどうなっているかです。3機種の吹口を較べてみました。

3triplesmouth             吹口の左端と右端の間隔(注)
(上) トヒャン     37.5mm
(中) マパラム     40.0mm
(下) イカロス     29.5mm


(クリックすると拡大表示されます)

                    (注)正確に言えば、低音部の吹口穴の左端と高音部の吹口穴の右端まで。

トヒャンとマパラムは、吹口の間隔が広いので、単音を吹いている際に間違って隣の吹口から音が出てしまうという危険性が少なく、中級者にも吹きやすいですが、反面、和音を出そうとすると吹口を大きくくわえなければなりません。

なお、マパラムは、トリプルは音域拡張が主目的である(和音はおまけでありサポートしない)との立場であり、そのため吹口の間隔も意図的に広く設計しています。

イカロスは、吹口の間隔が狭いので、単音を吹いている際に間違って隣の吹口から音が出てしまうという危険性が高く、中級者には吹きにくいですが、吹口のコントロールがうまくできれば、和音を出す際にも吹きやすいです。

結果的に、イカロスは生産量も少なく演奏者を中心に供給されているので上級者向け、マパラムやトヒャンはホームページ上で市販しているので中級者向け、という棲み分けができるように思います。

4.まとめ

楽器の音色については文章では説明しきれないので、あくまでも外観からの比較です。

3tripless_2  (クリックすると拡大表示されます)

サイズに関して言えば、長時間演奏する場合には大きく重いトヒャンは負担が大きいですが、実際にはトリプルで何曲も続けて演奏することはプロの公演でも少ないので、吹く人の手の大きさや好み次第でしょう。厚みに関連する持ちやすさについても好みの問題です。

吹口に関して言えば、初めてトリプルに接する人にはマパラムやトヒャンが吹きやすいですが、将来的に和音も吹きこなしたいという意欲と能力がある人にはイカロスが吹きやすいでしょう。

中音部の運指に関して言えば、イカロスとトヒャンは右手親指を運指に使いますが、マパラムは右手親指を運指に使わず、右手の人差し指で2つの穴を押さえ分けるようにしています。どちらが楽かは好みの問題でもあり慣れの問題でもあります。初めてトリプルに接する人には楽器の表側で完結しているマパラムの方が吹きやすいでしょう。また、トヒャンの「中音部でレを出す穴」などの工夫は、様々な曲に挑戦する人には魅力的でしょう。

韓国製のマパラムとトヒャンを一言で言えば、イカロスを意識しつつ改良を加えたトヒャンは上級者に近い中級者向け、独自のデザインで軽量かつ運指の楽なマパラムは初級者に近い中級者向け、という気がします。しかし、実際には大量生産しているトヒャンがマパラムの半値以下で市販されていますので、はじめてのトリプルとしてトヒャンに接する人も多いと思います。

いずれにせよ、今後「トリプルでしかできない演奏」を聞く機会や「トリプルでしかできない曲の楽譜」が増えなければ、高価な楽器を使いこなせずに挫折する人が続出するでしょう。トリプル・オカリナの将来は、単なる物珍しさを超えた魅力を感じる人がどのくらい現れるかにかかっています。少なくとも韓国においては、トリプル・オカリナが物珍しさを失うまでの時間は余り残されていません。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月 5日 (日)

製品レビュー:トリプル3機種の比較(2)

2.本体の厚み

オカリナ本体の厚みは持ちやすさに影響します。丸っこい(本体が厚い)ものが持ちやすいという人もいれば、平たい(本来が薄い)ものが持ちやすいという人もいます。トリプルオカリナ3機種を較べてみました。

3triplesup_2                 厚み
(上) トヒャン  42.0mm
(中) マパラム  41.5mm
(下) イカロス  46.0mm

(クリックすると拡大表示されます)

単純に厚みを較べると
マパラム < トヒャン < イカロス
となりますが、私が手に持った印象では、マパラムは厚く、トヒャンは薄く感じられました。おそらく写真でもそう見えると思います。

マパラムは丸っこく(横幅が短く先端が急に細くなっている)、トヒャンは平たい(横幅が長く先端は徐々に細くなっている)ので、そう感じるのでしょう。

イカロスは数字上も厚いですし、先端もあまり細くならないので、大袈裟に言えば長方形の箱を持っているように感じられました。

(続く)

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月 4日 (土)

製品レビュー:トリプル3機種の比較(1)

日韓のトリプル・オカリナ3機種が一堂に会する機会を得たので、比較してみます。
但し、以下の数値データはあくまでも手元にある個体の数字です。
(オカリナは大なり小なり手作りですので、個体毎に若干の違いはあります。)

1.全体のサイズ 

3tripless_1
                           横幅        重量

(上) イカロス(ICARUS) 15.3cm  270g

(中) マパラム(南風)    14.9cm  280g

(下) トヒャン(土香)    15.9cm  386g

 

(クリックすると拡大表示されます)

横幅(上記写真で言えば左端から右端まで)の長さは、
マパラム < イカロス < トヒャン
重量は
イカロス < マパラム <トヒャン
トヒャンの大きさが目立ちます。

あまり重いと長時間吹いた際に手が疲れてしまいますが、小さい方が好きか、大きい方が好きかは、吹く人の手の大きさにもよるでしょうし、好みにもよるでしょう。

(続く)

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月 2日 (木)

コラム:ダブル、トリプルは必要か?(2)

3.あなたにダブル・トリプルは必要か、その判定方法

(1) あなたはオカリナの蒐集マニアですか?

「はい」 → (8)へ進む
「いいえ」 → (2)へ進む

(2) オカリナの音域が足りなくて吹きたい曲が吹けなかったことがありますか?

「はい」 → (3)へ進む
「いいえ」 → ダブル・トリプルは必要ありません。新しい楽器をいじっているうちに自然と指が動いて曲が出てくる人は別ですが、吹きたい曲が普通のオカリナで吹けるのに無理してダブル・トリプルを使う必要はありません。

(3)あなたが吹きたい曲は移調をして1本のオカリナで演奏できますか?

「いいえ」 → (4)へ進む
「はい」 → ダブル・トリプルは必要ありません。移調が出来ない人や、オリジナルの調で演奏しないと気持ちが悪いという人は別ですが、移調すれば普通のオカリナで吹きたい曲が吹けるのに無理してダブル・トリプルを使う必要はありません。

(4) あなたが吹きたい曲は異なる管の持ち替えで演奏できますか?

「いいえ」 → (5)へ進む
「はい」 → ダブル・トリプルは必要ありません。例えばアルトC管とソプラノC管を持ち替えながら演奏できるのであれば、高価なダブルやトリプルより、安価で選択肢も多いアルトC管とソプラノC管の中から自分の好みに合ったものを別個に買った方が、安上がりで良い演奏ができます。

(5) あなたが吹きたい曲は拡張音(倍音)が出せれば演奏できますか?

「いいえ」 → (6)へ進む
「はい」 → ダブル・トリプルは必要ありません。ソプラノCやソプラノGの中には、一部の運指穴を押さえて強く吹くと運指表に記載されている最高音より高い音が出るものがあります(出ないものも多いです)。手元のオカリナで拡張音(倍音)を出せて、それを利用すれば吹きたい曲が音域内に収まるのであれば、そっちを練習した方が楽ですし安上がりです。

(6) あなたは吹きたい曲を吹けるようになるためには練習も苦にならない性格ですか?

「はい」 → (7)へ進む
「いいえ」 → ダブル・トリプルは必要ありません。ダブル・トリプルがあれば良いのは勿論ですが、吹き方を会得するには練習が必要です。挫折してしまうと高価な楽器が勿体ないです。まずは現在のオカリナで吹ける曲をもう少し練習しましょう。

(7) 現在のオカリナの音域では満足できない向上心のあるあなたには、ダブル・トリプルが必要です。経済的に手が届くのであれば、ダブル・トリプルへの挑戦はあなたにとって新たな刺激となり励みとなり、今まで吹けなかった曲の演奏もきっと可能になるでしょう。

(8) オカリナ蒐集マニアのあなたには、ダブル・トリプルが必要です。吹けようが吹けまいが、高価だろうが関係ありません。珍しい楽器、オカリナの限界に挑戦する楽器を所有する喜びに浸るのも趣味のあり方の一つです。但しそうでない人に自慢しないよう気を付けて下さいね。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年10月 | トップページ | 2007年1月 »